青畳は睡眠薬?!

 先日、1階の8畳間と6畳間の表替え(ゴザの取り替え)を

させて頂いた市内の I(アイ)邸、

「お金が用意できたので、集金に来て欲しい」

と、お電話頂き集金に伺わせて頂きました。

 

Iさんは87歳。

数年前にご主人を亡くされ、戸建て住宅で一人暮らし。

「いつ死んでもいい様に、障子とカーテンも取り替えるのよ。」

なんて言いながら、笑っていらっしゃいました(^_^;)

 

集金を終えて、よく冷えたリンゴジュースを頂きながら

たわいもない話をしていると、ポツッと一言。

 

「お父さん死んでから、一人だからね・・

 夜寝られなくてね、お医者様からお薬頂いて、

 寝る前に飲んで寝るんだけど、なかなか寝付けなくて。

 お医者様はね、『1錠だけですよ』って、言うんだけど、

 どうしても1錠だけじゃ寝られないからこっそり2錠飲んじゃうの。

 でもね、やっぱりあんまり寝付けなくて

 夜中の3時頃には起きちゃうのよ・・

 ところが、畳替えをしてから家中が青畳のいい香りがするでしょ。

 夜も、お薬1錠飲めばそのままぐっすり寝てしまうのよ。

 本当に、畳替えてもらって良かったわ。ありがとう。」

 

涙が出るくらい、ありがたいことを言って頂きました。

仕事も少なくて、和室が減る傾向の昨今。

こういうこと言って頂くと、頑張らなきゃいけないと思います。

 

青畳の香りは、大地の風の薫りなんです。

田んぼから、天に向かって伸びるイ草を見てそう思ってました。

こんな自然の香りが、痛んだ人間の心を落ち着かせるのでしょうか。

 

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↑ 刈り取り直前のイ草田 ↑

 

いつも畳表をお願いしている、

熊本県の農家ではちょうどイ草の刈り取りの真っ最中。

昨年は刈り取りのお手伝いに2泊3日で行ってきましたが、

今年は、残念ながら行かれずに終わりそう。

過酷な労働のイ草刈りですが、

そのお陰でこうして喜んで頂くことが出来ます。

自分が生かされていることに、

改めて気づく事が出来ました。

 

イ草農家の皆さんへ

 刈り取り、大変でしょうが頑張ってください。

 今年も、心が落ち着く畳表を心待ちにしています。

 

 

 
 
なんだか、温かい気持ちになれた7月の始まりでした。